2016年9月1日 更新

家族みんなが嬉しいあそび場「PAPAMO」体験レポ&主催者 橋本咲子さんインタビュー

先日、子どもを連れて「親戚のおうちのようなあそび場」をコンセプトに開催されている「PAPAMO」に参加してきました。3時間のプログラムの中で子どもたちがどんな風に遊んでいたかをレポートし、後半では「PAPAMO」を運営している橋本咲子さんのお話も紹介します。

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「PAPAMO」は、スタッフの自宅などの「家」を会場に、「親戚のおうち」のような雰囲気の中で、小さな子ども達(対象は未就学児)には楽しい遊びの時間を、その保護者には休憩したりお出かけしたりという自由時間を提供してくれるサービスです。2016年6月から東京や川崎などで開催されています。
7月の土曜日、この「PAPAMO」に子どもと一緒に参加してきました。会場は、東京 千駄ヶ谷にある素敵な一軒家です。

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こちらが、その日のプログラム。
「キッズスタッフ」の方が毎回テーマを決め、楽しい遊びの準備をして出迎えてくれます。私たちが参加した日のテーマは「ファッションショー」。大人でも、なんだかワクワクしてしまいます! 1回3時間のプログラムの中でひとつの活動が長くて40分程度と、子どもが飽きないように工夫されているんだな、なんてことも感じられました。

パパやママがゆっくりできる空間も

「PAPAMO」では、始まりと終わりの時間は親子が一緒にいることになっていますが、その間の時間は、子どもが大丈夫であれば別の場所にいてもOKとなっています。千駄ヶ谷の会場では、子どもたちが遊んでいる隣の部屋に、保護者用のスペースが設けられていました。

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うちは子どもが人見知りなこともあって、ずっと離れているということはできなかったのですが、それでも遊びに集中しているときを見計らってちょっと隣の部屋でお茶を飲んだりし、リフレッシュできました。
他の親御さんたちも、ママ友同士おしゃべりしたり、仕事をしたり、どこかに出かけたり、思い思いに過ごしていたようです。

子どもたちが夢中で過ごした3時間

ここからは、子どもたちの遊びの様子をレポートします。

みんなで自己紹介

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開始時間になると、「PAPAMO」の説明があり、まずはスタッフの皆さんから自己紹介がありました。この日のキッズスタッフは、平日は保育園で働いている保育士の渡邉真悠子さんと、大学で保育と教育について学んでいる横井杏香さんのお二人。このように、保育のプロと学生さんの2名体制での運営が基本だそうです。さらにこの日は、子どもとふれあう経験がしたいという学生さん2名も、ボランティアで参加していました。
その後、参加した子どもたち一人ひとりにお名前を聞いてくれ、みんな上手に自己紹介ができました。

ドレスとポシェットづくり

いよいよ遊びの時間がスタート。
キッズスタッフの方が、頭や腕を通す穴を開けたビニール袋を用意してくれていて、それを土台に、好きな飾りをペタペタ……、思い思いにかわいいドレス、カッコいい洋服を作っていきます。

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ドレスが完成したら、ポシェットも作成。好きな絵を書いたり、葉っぱを貼り付けたり、素敵なできばえに、思わずニッコリ。

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小休止には絵本の読み聞かせも

みんなのドレスとポシェットが完成したところで、いったんお片付け。休憩しつつ、キッズスタッフさんが読んでくれる絵本に見入る子どもたちです。

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思い思いに自由遊びの時間も

それぞれが好きなもので遊ぶ時間も用意されています。お部屋にはたくさんのおもちゃがありましたが、ダンボールのおうちづくりが人気でした。

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色を塗ったり、飾りを付けたり、たくさんデコって素敵なお城を作ろう!

パパやママも呼んでファッションショー

最後はパパやママも見ている前で、作ったドレスやポシェットを披露しました。
ちょうどお部屋の中の段差がファッションショーのランウェイのようで、みんなかわいくキマってました!

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この後、みんなでご挨拶をして解散、なのですが……、なかなか帰ろうとしない子どもたち。この頃にはみんな打ち解けて、元気な笑い声が響いていました。

「PAPAMO」を立ち上げた橋本咲子さんへのインタビュー

名残惜しそうにしていた子どもたちが帰っていった後、「PAPAMO」を立ち上げ、運営する橋本咲子さんにインタビューしました。

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身近な友人の問題から、命をかけてやるべきテーマに出会った

- 今日は、うちの子もとても楽しんでいる姿を見られて嬉しかったです!
橋本さんは、GOB Incubation Partnersという会社の社員として、「PAPAMO」を運営しているんですね?

はい、今は社内事業という形で立ち上げています。この会社は学生や若手社員の起業を支援している会社で、「PAPAMO」もいずれ軌道に乗ったら、独立した事業にする予定なんです。

 

- 社員が起業して独立していくのを支援している会社って、珍しいですよね。橋本さんは社会人何年目ですか? 最初から起業したくてこの会社に?

社会人歴3年目です。もともと自分で事業をやりたいという思いがあって、今の会社には学生時代も関っていたのですが、経営コンサルタントの仕事にも就きたかったことと、当時まだ明確な事業のテーマが見つかっていなかったので、最初は外資系のコンサルティング会社に就職しました。その後、あるきっかけから「子育てに関することなら、命をかけてでもやれる」という思いを抱くようになり、今の会社に入って事業の立ち上げをしました。

 

- その「きっかけ」というのは?

友人が育児ノイローゼになってしまったんです。夫婦共に両親が遠方で、誰の支援も得られずに子育てをしていて、彼女は「自分の子どもを虐待しそうだった」と。それまで「児童虐待」ってすごく遠い世界のことのように思っていたのですが、自分の身近なところでそれが起こりそうになっていたということにすごくショックを受けたんです。それまで私は子育てってあまり関心がなくて、とにかく「仕事、仕事!」という感じだったのですが、それをきっかけに周りの人に聞いてみると、「もちろん虐待はしないけれど、手を上げそうになる気持ちは分かる」と言うんですね。それで、もっと子育てしやすい社会にしなければいけないと思いましたし、自分もゆくゆくは子育てをする立場になると考えれば、この領域なら命をかけてやれると思ったんです。

- そこからすぐに「PAPAMO」のサービスを思いついたんですか?

いえ、何度も方向転換しました。最初は「赤ちゃんの夜泣きで寝られなくてつらい」という悩みを解消することを考えていたのですが、夜泣き対策をビジネスにするのはなかなか難しくて……。「昼間に少しでも自分を取り戻せる時間があれば、夜寝られなくても頑張れる」という声を聞いて、今の「PAPAMO」のような形にたどり着きました。

「親戚のおうち」のような、親もゆったり過ごせる場所を

- 今日見ていて、ずいぶんお子さんに慣れているから保育経験者なのかと思いました。

いえいえ、私は全く保育、子育ての経験はないので、そこは専門スキルを持ったスタッフに任せています。
ただ、「PAPAMO」を立ち上げる過程では、利用者のことを理解するために生後3ヶ月のお子さんのいるうちに泊まりこんで「1日ママ体験」をしたり、いろいろなママ会に参加したり、500人くらいの方にインタビューをしました。ユーザーの気持ちに寄り添うということを、一番大事にしています。

 

- 「PAPAMO」が正式に始まったのは6月からということですが、それまでもテストとしての遊びの場は何度も開催されてきたんですよね?

はい、10回以上テストしてきました。

- そのテストの過程で、利用者の反応を得て気づいたこととか、力を入れるようになったことはありますか?

今「PAPAMO」は「親戚のおうちのようなあそび場」というコンセプトを掲げていますが、それはテストサービス体験者の方々に言われたことなんです。もともとおうちを舞台にした「温かい場所」を作りたいと考えていたのですが、「親戚のおうちみたいだね」と複数の方に言われて、「あ、私が作りたかったのは、そういう場所なんだ」と気づきました。
今の日本は子育てについて完璧な理想像みたいなものがあってギスギスしてしまっているように感じるんです。だからもう少しゆるく、「親がゆったり休んでいても罪悪感を持たずにいられる場所」にしたいと考えていて。「親戚のおうち」って、まさにそういう場だなと思ったんです。

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子どもが楽しめて、パパも利用しやすい。家族みんなが嬉しいサービスに

- 今のお話を聞くと、「PAPAMO」は、「保護者の方にゆとりのある時間を提供する」ということがメインの目的なんですね

出発点はそこですね。ただ、テストサービスを重ねる中で分かったのは、保護者の方ってお子さんが楽しくない状況の中で自分が休みたいとは思わないんですね。だから、まずはお子さんが楽しく安全に遊べるプログラムを提供し、お子さん自身がPAPAMOを「預けられる場」ではなく、「遊びに行きたい場」と思ってもらえるようにすることを第一においています。
今、都会では小さい子が近所のお兄ちゃんお姉ちゃんに遊んでもらうということはなかなかありませんよね。私の出身地である長崎の五島列島では、親戚・ご近所付き合いがあって、私自身「いろんな人に育ててもらったな」という感覚がありますし、実家に帰るときには、「大好きだったお兄ちゃんやお姉ちゃんに会いたいな」と今だに思ったりするんですよ。そんな存在だからこそ、親も「ちょっと子どもを見てて」って頼んだりできます。「PAPAMO」も、子どもが友だちや親戚のおうちみたいな身近で楽しいところという感覚で来てくれる場所にしたいですし、いろんな友だち・大人と触れ合うことで、多様な価値観を醸成できる場にしたいと考えています。

 

- 利用者の方は、他にはどんな感想を?

いろいろな観点からご意見をいただいているのですが、「少し子どもと離れる時間を持つことで自分も落ち着くことができ、その後は子どもに対して優しくなれる」という感想は、嬉しいですね。
それから、「PAPAMOがあるとダンナさんに子どもを任せられる」という声もあるんですよ。「PAPAMO」という名前は、「お父さんにも子育てを楽しんで欲しい」という思いで付けたんです。今、ベビーシッターにしても公的な子育て支援サービスにしても、お母さんを助けてくれるものは色々ありますが、お父さんが利用するのはハードルが高かったりします。でも、お母さんが一番頼りたいのは、ベビーシッターでも保育園でもなくお父さんだろうと思うんですね。だからPAPAMOは、お父さんが子育てに積極的になれるお手伝いをしたいと思って。ここだと、ずっと子どもの相手をしていなければいけないわけでもなく、子どもが遊んでいる間仕事をしたり休んだりもできますので、お母さんからしても、お父さんに頼みやすいみたいです。

- なるほど! 家族みんなに嬉しいサービスですね。

潜在保育士の活躍の場にも

- 今後、「PAPAMO」の開催回数や場所は増えていくんですか?

1年後に10拠点、各拠点で1週間に1回は開催している状態を目指しています。
今回は週末の開催でしたが、場所によっては平日に開催しています。平日だと、フリーランスの方が子どもを連れていけるコワーキングスペースのような使い方をされたり、専業主婦の方が、平日のお出かけ先の1つとしても来られたりしますね。

 

- 場所やスタッフの方はどうやって探しているのでしょう?

私たちはあくまでプラットフォームとして運営し、「PAPAMO」をやりたいという保育士さんには個人事業主としてご自宅や近所で借りられる場所を使って活動してもらいます。
各拠点のキッズスタッフは2名で、リーダーは保育士資格を持っているか、保育関連施設で3年以上働いた経験のある方、サポートには学生さんや子どもに関わりたいという希望のある一般の方に担っていただいています。
今、保育園が足りない中、潜在保育士や保育士の待遇が問題になっていますが、保育園のお給料を上げるだけでは、なかなか解決は難しいと思うんですね。保育士さん自身も子育てしたりしていると、週5でフルタイムで保育園に勤務するのは難しかったりして。「PAPAMO」は、保育士さんごとに、自分が作りたい遊びの場を、好きな時に・好きな場所で持っていただくという形で、潜在保育士の方のキャリアをつなげることにも活用していただけると考えています。

 

- この記事を呼んで「PAPAMO」をやってみたいという保育士さんがいらしたら、どのようなプロセスで採用されるのでしょうか?

まずはお話させてもらって、「PAPAMO」の考え方に共感いただけたら、研修の後、数回は直営の「PAPAMO」でキッズスタッフを務めていただきます。その後、それぞれの場所で始めてもらう、という形になります。

(保育園の保育士から「PAPAMO」のキッズスタッフになられた金川さんのインタビューもご覧ください。→子どもが好きだから伝えたい 元保育士・金川さんがPAPAMOから発信する子育ての楽しさ

- 保育の専門教育を学んだ方のスキルは、保育園以外でもたくさん活かせる場所がありそうですよね。今日はボランティアの学生さんもいらしていましたが、若い人たちが小さい子どもやその親の様子を間近に見られる機会としても、いいですね。

そうなんです。私自身もこの事業をやるまで「子育てすること」のイメージが全然わいていませんでしたが、PAPAMOを立ち上げる過程で、多様な親子のあり方に触れ、それを通して将来の子育ての仕方・働き方を考えるきっかけになりました。
同世代の社会人や学生にとっても、PAPAMOはそんな気づきを得られる場でありたいと思い、ボランティアを積極的に受け入れていますし、ボランティアの方も、さらにこの仕事に興味を持ってアルバイトにしたいと思えば、研修を受けてキッズスタッフになることもできますので、仕事について考える場としても活用していただければと思います。

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後列:左から橋本さん、キッズスタッフで保育士の渡邉さん。前列:左からボランティアスタッフの杜多さん、キッズスタッフの横井さん、ボランティアスタッフの野村さん

- 今日はありがとうございました。「PAPAMO」の拠点が増えて、我が家の近くでも利用できるようになることを期待しています(笑)

そうなるように頑張ります! ありがとうございました。

橋本咲子(PAPAMO代表)

橋本咲子(PAPAMO代表)

大学在学時より、社会課題をビジネスで解決することに関心を持ち、ソーシャルアントレプレナーの元で活動したり、新規事業ワークショップを多数実施。卒業後は、アクセンチュア戦略グループにて勤務。GOB-IPでは、企業向けコンサルティングを担当。その傍ら、PAPAMOを立ち上げている。

PAPAMOよりお知らせ

PAPAMOの開催情報をお受け取りになりたい方は、以下どちらかの方法でご登録ください。
<mail> info.airhousery@gmail.com
<LINE> https://line.me/ti/p/%40zkf4455z
過去の開催情報は、FBにUPしています。
https://www.facebook.com/PAPAMO-1706692519596659/

また、PAPAMOは、保育士・幼稚園教諭の新しい働き方を応援しています。キッズスタッフになりたい方は、数回の面接・講習を受けていただくと、ご自身の好きな日時に好きな場所で「あそび場」を開くことができます。関心のある方は、以下までお問い合わせください。
info.airhousery@gmail.com

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