2017年8月24日 更新

好きな仕事と子育て、どちらも諦めない!9年続くリモートワークの秘訣

リモートワークをする本人も会社も、トライアンドエラーが不可欠

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在宅勤務をはじめ、リモートワークを認める会社が増えつつある昨今。今から9年も前に、都内の自宅で群馬県の高崎市の会社の社員として働くというリモートワークを実践してきた女性がいます。リモートワークならではの壁をどのように乗り越えたのでしょうか。9年間継続できている秘訣をお聞きしました。

岡本 優子(おかもと ゆうこ)さん

岡本 優子(おかもと ゆうこ)さん

メーカーと通販会社の間を取り持つ通販ベンダーの株式会社アペックスにて、テレビショッピングに使う健康食品などの商品開発、クライアントの開拓、放送の立ち合いなどを行う。入社時からリモートワークを始め、現在リモート社員歴9年。食品専門商社にて営業職を4年、外資系メーカーに3年、食品卸の企業に2年勤め、妊娠を機にアペックスへ転職。小学3年生の息子、年中の娘がいる。

妊娠を機に、仕事内容を変えずに柔軟な働き方ができる会社に転職

- 妊娠を機に転職されたとお聞きしましたが、経緯をお聞かせください。

前職でもテレビショッピング用に食品を卸す仕事をしており、業務の内容自体が好きで、自分に合っていると思っていました。とはいえ、育休から復帰後も同じ業務を続けられるかというと、深夜に及ぶ生放送の立ち合いに伴う宿泊が発生するなど、前職ではなかなか難しい面がありました。仕事内容を変えずに、子育てと両立しながら柔軟に働けないか。そう考えていたとき、自分のやりたいこととマッチしている会社として、アペックスへの転職を考えるようになりました。

もちろん、住んでいる東京とアペックスの本社がある群馬県の高崎とは物理的に離れているのが懸念ではありました。ですが、アペックスでは今から10年前の時点ですでに、1年半もの間リモートワークを実践している女性社員がいたのです。最初からリモートワーク前提で働く素地ができているなら、私にも挑戦できるのではないかと背中を押されましたね。転職前に第一子を出産して、最初はアルバイトの立場で働き、それから半年後に正式入社するという形で緩やかにスタートを切りました。

- 現在の業務はどんな内容ですか。

現在の業務は健康食品をテレビショッピング用に卸すという仕事です。私は企画、営業がメインで放送の立ち合いも行います。バイヤーの商談に同席することもあります。

- 普段リモートワークということですが、どんなワークスタイルなのでしょう?

週に1回、日帰りで群馬の高崎にあるオフィスに顔を出すようにしています。9時半頃に出社して3時くらいまで過ごす感じですね。東京から新幹線で1時間半ほどかけて移動していますが、その間もモバイルが使えるので業務時間としてカウントしてもらっています。

アペックスは全体の社員数が30名前後いますが、オフィスといってもアットホームな、誰かの家みたいな空間で。入社して10年経った今でも、行けばみんながあたたかく迎えてくれるのはありがたいですね。オフィスにきたときは雑談をして、業務に関することよりも何気ないコミュニケーションをとることを優先しています。

週に1度は通う株式会社アペックスのオフィス(群馬県高崎市)

週に1度は通う株式会社アペックスのオフィス(群馬県高崎市)

- それは素敵な会社ですね。リモートワークのときは、主にどんなツールでコミュニケーションをとっていますか。

リモートワークのときはメールや電話がメインです。ただ、チームのメンバーが都内の得意先に訪問する際に合流するなど、対面してコミュニケーションをとる機会は割とあるんです。ひとりで完結する業務の方がリモートワークに向いていると思われるかもしれませんが、実はそうではないんです。第二子を出産するまではひとりで進める仕事がメインでしたが、正直なところ当時は孤独でしたね。トラブルがあってもひとりで解決しないといけないというプレッシャーがありましたから。

こうした状況を変える転機になったのは、あるクライアントの提案でした。「小さい子どもを抱えてひとりではキャパオーバーではないか、チーム体制で進めてほしい」と。そこから、会社としてもチーム体制を築こうと本腰を入れるようになりました。

現在は男女2名ずつのチームで事務系と、企画・営業系の分業体制になっています。この体制になってから、孤独感や「相手に迷惑をかけるんじゃないか」という心配は薄れました。他のメンバーはリモートではありませんが、質問や相談はもちろん、相手を気遣うようなコンタクトを密に行うことで、互いの状況がわかり、うまくサポートし合えているなと感じています。

 

リモートでも評価してもらえるの? という不安を乗り越えて

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- 10年前というと、リモートワークのためのインフラ整備が現在ほど進んでいなかったと思います。リモートワークを軌道に乗せるまでに大変だったことはありましたか?

今でこそリモートワークの情報も、リモートで働く人も増えています。ですが当時は周りの人に「家で働く」というと、「内職してるの?」という反応が返ってきました。

入社当初は私も会社も、バランスのよいリモートワークのあり方を模索する時期でしたね。最初の1、2年は「評価されたい、信頼されたい」という気持ちが先立ち、ハードワークになりがちでした。現在も業務の内容上、締切が迫っているときには夜間に対応することもありますし。就業時間は自己申告制なのですが、どこで線引きをするかという課題はありますね。

ですが年月が経ち、信頼関係も徐々にできてくると、社長との関わりが業務上多く発生することもあり、今では「ちゃんと自分の仕事ぶりを見てもらっているんだ」という安心感をもてるようになりました。あとは、業務時間だけでなく、プライベートでも社員同士が交流する機会に恵まれているのもよかったですね。イチゴ狩りに行ったり、2、3年に一度子連れOKの社員旅行があったりして、家族のことも含め、お互いを知る貴重な機会になっています。

- プライベートでも交流があるって良い環境ですね。リモートワークを始めるにあたって家の環境を整えたのですか?

それが全然整える時間がなくて。本当は生活空間と仕事場を分けたかったのですが住宅事情により難しく、家では現在小学3年生の息子の学習机と隣り合う形で仕事をしています。正直、今くらいの子どもとの距離感は悪くないなと思っていて。自分の人生全体で考えるとすべて子どもに注意やエネルギーを向けるよりも、自分の背中を見せて、母親が働いているのが普通と思ってもらえればいいなという思いで働いています。

 

好きな仕事だから頑張れる――リモートを9年間継続できた秘訣

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- 岡本さんがリモートワークを9年間続けられている理由は何でしょうか。

大前提として、その仕事自体が好きかどうかに大いに左右されると思うんです。個々に置かれた環境は違っても、好きな仕事だから頑張れる、制約があっても課題を解決して何とか乗り越えていける。そう思っています。好きな仕事なら、何をもってその仕事で成功とするのか、どういう方向をめざせばいいのかという勘所がつかめて、成果が出しやすいという面もあるでしょうね。

- 岡本さんのように柔軟な働き方ができる人をもっと増やしていくには、社員、会社双方がどんなことを心掛けるとよいのでしょうか?

リモートワークをする本人も会社もトライアンドエラーを継続していくことに尽きると思います。問題が起きたら、その解決を前提にすり合わせしていくというように。

もちろん中小企業の多くは人材が潤沢なわけではないので、社員は誰かに替わってもらうという発想がしづらく、「私がやらなきゃ」と自分で背負いがち。ですが、そういう発想を少し手放してみる。会社にとっても、今日、明日を生き抜くための売上だけでなく10年後の売上も見据えて、長く働いてもらうために、社員と一緒に乗り切っていくという姿勢が大事だと考えています。

- たしかに、中長期的な目線は大事ですよね。

中小企業こそリモートワークを増やすための素地をつくりやすいと考えています。大企業だと就労規則がかっちりと決まっていることが多いですよね。個々人の特性や家庭の状況に応じてルールを見直すのは難しいですし、社員としては、ルールが変わるのを待っていられないというのが正直なところ。その点、中小企業だと社長や上司と顔が見える距離なので、社員それぞれのライフスタイルに応じて、会社の考えとすり合わせていくことができます。

ルールをいくら細かく決めても、そこからはずれた状況が発生したときに言い出しにくくなるなど、逆にルールに縛られてしまう側面は否めません。だから最初から決めるより、うまくいかないなら、都度変えるというやり方のほうが、リモートワークのような柔軟な働き方を進めやすいのではないでしょうか。

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この記事のライター

松尾 美里 松尾 美里