2016年5月17日 更新

ライフイベントに備えて、自分を知り、選択肢をもち、自分で決める働き方

これからますます多様化する働き方に柔軟に対応できるよう、私たちはもっと自分と向き合い、さまざまな選択肢をもつことが必要になりそうです。

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4月24日に開催されたセミナー『ライフプランの中で「はたらく」を考えよう』(「Women’s Intelligence~女性がもっと経済に興味を持つためのきっかけづくりプロジェクト」主催)に参加しました。結婚や妊娠、出産、育児以外にも夫の転勤や介護など、女性にはさまざまなライフイベントがおこりますよね。そのためにキャリアをあきらめていたとしても、これからは自分らしく働けるかも! と期待できるセミナーの内容をご紹介します。

セミナー会場の様子

あきらめず、自分で働き方を決めるためにできること

2部構成の第1部、前半は「あきらめないで!はたらき方は自分で決める」。講師は、選択肢の増える社会を目指して事業展開を続けている、NPO法人Arrow Arrowの代表理事・堀江由香里さんです。働きやすい環境をつくるためのヒントをたくさんいただきました。

NPO法人Arrow Arrowの代表理事・堀江由香里さん

これからは女性がキャリアの主導権を握る

「“ワーク・ライフ・バランス”という言葉そのものは浸透しているものの、十分に理解している人や企業はまだまだ少ないです」という堀江さん。

今回、堀江さんが提案するのは「権利主張型でもなく、迎合するでもない新しいはたらき方でキャリアの主導権を握る」というもの。今までは“この仕事がやりたい!”と権利を主張したり、やめさせられるならと会社の言いなりになってしまい、思うような働き方ができなかった人もいるかもしれません。

そうではなく、出産後は自分が変わるという前提をまずは受け入れたうえで、会社にもそれをどう受け入れてもらうか、Win-Winになる方法や交渉のしかたを考えることが大切とだとおっしゃいます。

そのために必要なことは2つ。

(1)会社側がどういう考えなのかを客観的に把握すること
(2)育児にどんなリスクがあるのか会社側に知ってもらい、回避する方法をこちらから提案すること

たとえば、

『自分が対応できないときに備えて後輩を育成します』
『仕事はひとりで抱え込まず、チームで成果を上げる方法を考えていきます』

など、組織の考え方も踏まえたうえでお互いが歩み寄るような提案をしていくことがポイントです。

ワーキングマザーと企業の本音とギャップ

女性がキャリアの主導権を握るために重要なのは「ミスコミュニケーションをなくす」こと。堀江さんは興味深いアンケートを紹介してくれました。

株式会社エン・ジャパンがおこなった「ワーママ意識調査2015」というアンケートによると、ワーキングマザーに意識してほしいこと(ワーキングマザー自身は意識したいこと)として、企業側は<業務を抱え込まない>が上位であるのに対し、ワーキングマザーは<自分に求められる任務を完遂すること>が上位を占めていました。

「ワーキングマザーは周囲に迷惑をかけたくないという思いから“自分の仕事は自分がやらなければ”と思いがちですが、じつは企業側は“もっと周囲を頼ってほしい”と思っているんです」と堀江さん。

その意識の違いから、ワーキングマザーは”評価してもらえるようにますます頑張らなきゃ”と思い、負のスパイラルにおちいってしまうこともあるそう。

仕事や周囲とのコミュニケーションの中で、ワーママに意識...

仕事や周囲とのコミュニケーションの中で、ワーママに意識して欲しいこと(ワーママ自身は意識したいこと)は何ですか?

企業も個人も“枠”を超える

堀江さんは“キャリアの主導権を握る”ということは「自分が成果を出す」のではなく「チームで成果を出す」という視点にシフトしていくことだといいます。

さまざまなライフイベントによって従来の働き方ができなくなった場合、今までのやり方を貫くよりも「プレイヤーからマネジャーの視点へ」考え方を変えることは、ワーキングマザーにとって必要になってくるのかもしれません。

また、企業側にも意識の変化が求められています。複数の人材に同じような役割分担をする「マス管理」から脱け出し、個人の特性を活かした「モザイク型」の人材活躍モデルへ移行することで、これからの多様性の時代に対応できるのではないかともおっしゃいました。

じゃあ、私にできることって?

モザイク型人材の活躍に向けて、私たちが目指すもの。そのポイントは「いつでも・どこでも・だれでも」。“私にはマネできない”と思うような完璧なロールモデルではなく、ひとりひとりが“私でもできるかもしれない”という等身大のロールモデルを目指そうというものです。

そのためにはできるだけ多くのワーキングマザーから話を聞くこと。そうすることで「全部はムリだけれど、ココだったらマネできそう」ということが分かってきて、自分らしい働き方が見えてくるのだとか。

「それぞれの一歩が10年後の社会を変える」とはいいますが、いきなり自分ひとりで動こうとしてもなかなか踏み出せないこともあると思います。まずは先輩の話を聞く、上司や同僚に相談するなど、ひとりで乗り越えようと思わず今までのやり方を疑ってみることから始めることで一歩を踏み出すきっかけになるのではないでしょうか。

 

ベストな仕事や働き方を見つけるために自分の資質を知ることも重要

数字統計学研究家 いのまた美きさん

第1部の後半は、前半の「自分と会社のはたらき方を見直す」を踏まえながら、あらためて自分の資質を知ろうというもの。数字統計学研究家 いのまた美きさんに、その方法を教えていただきました。数字統計学とは、生年月日と名前を数字化して性格とバイオリズムを分析するスタイル。数学者ピタゴラスが基礎構築した学問がベースとなっていて、ユダヤ民族も活用している思想の一部でもあります。

性格は11タイプにわけられ、7割の人は2タイプの性格を持っているそう。幼少期から27歳くらいまではサブキャラクターが中心となっていますが、27歳をさかいに価値観が移行し、メインキャラクターが中心となり生き方や信条が変わる人もいるのだとか。

実際にセミナー参加者からは、27歳で転職した、30代になってまわりから落ち着いたと言われるようになったなどの声が聞かれました。

こういったユニークな方法も活用しながら自分の性格やバイオリズムの流れを見つめることで、自分に合った仕事や働き方を自分で見つけることができるところが魅力です。

いのまたさんは、アドバイス業のほかにも幼児教育や結婚相談所など、さまざまなシーンで数字統計学を活用しています。自分の変化を受け入れるときには「数字統計学」のような考え方も役に立ちそうです。

自分らしくくらし、働くために〜妊娠と出産、胎児医療について知っておこう

第2部は「女性が自分らしくはたらき、くらすための人生設計」というテーマで、現役の産婦人科医 林伸彦先生から、妊娠・出産が女性のくらしに与える影響や、胎児医療のいまについてお話がありました。

産婦人科医 林伸彦先生

選択肢の多い女性のライフスタイル

「女性のライフスタイルは選択の連続です」と話す林先生。

・結婚するのかしないのか
・子どもは欲しいのかそうではないのか
・望まない妊娠をしてしまったら?
・子どもが思うようにできないときの治療法って?
・子どもが欲しいと思ったときの年齢や仕事、環境
・妊娠中に合併症になったら・・・

など、まだ子どもがいない人も、将来は子育てしながら働くイメージをもっているなら、妊娠に向けて今できることや妊娠後に発生しうる選択肢を事前に知っておくことが大切だと語ります。

じつは重要な妊娠前の準備

いずれ子どもが欲しいと思っている人は、妊娠前から

・妊娠しやすい身体づくり(禁煙・持病の治療・エクササイズなど)
・赤ちゃんの病気を減らす(風疹抗体チェック、葉酸摂取、歯科治療など)
・環境を整える(ストレスをためない、仕事の調整、子づくりできる環境など)

など、身体やまわりの環境を整えることが重要とのこと。ほかにも婦人科疾患の有無を検査するブライダルチェックというものもあります。林先生はじつは妊娠前から準備しておくことで切迫早産などの合併症を防ぐことができるとも話しています。

不妊治療のいま

子どもが欲しいと思ってもなかなか妊娠できない場合、不妊治療も選択肢のひとつとなります。治療を受ける年代としては40歳前後がもっとも多く、40歳の場合、治療を受けていても妊娠率14%、出産約8%というデータが出ていました。

また、不妊治療と仕事の関係において林先生自身、「治療中は〇月〇日〇時に病院へ来てくださいと時間を指定することも多く、仕事をしながらの治療は医者から見ても大変だと思います」とも。

高齢出産している人は増えているため、一見、大丈夫なのではと思いがちですが、医学的に年齢は重要視されており、じつは妊娠できずに悩んでいる人の方が多いということを認識する必要がありそうです。

「不妊治療がなかなかうまくいかない人の選択肢には養子縁組もあります」という林先生。日本は遅れているという一方で、社会的養護が必要な子どもも増えているため、養子縁組をサポートする団体も増えています。

のぞまない妊娠に対する選択肢

林先生は、新型の出生前診断を受けて染色体異常が見つかった人の97%が中絶したというデータを紹介してくれました。のぞまない妊娠については中絶のほかに、産んで育てないという選択肢があるといいます。

養子縁組を必要としている人もいるため、産んで育てない人をサポートする団体もあり、のぞまない妊娠により悩みをかかえている人のために窓口を設置しています。

海外では妊娠10ヶ月の赤ちゃんを患者と考え、出産前に手術をおこなう国もあり、林先生も「-1歳から始まる人生。生まれる前の命にも医療があたり前になる未来をつくりたい」としてNPO法人「親子の未来を支える会」を立ち上げています。

NPO 親子の未来を支える会

NPO 親子の未来を支える会

自分が納得できる働き方を

林先生は最後に「自分を知り、もてる選択肢を知り、納得する選択をしてほしい」と話してくれました。

ライフとワークは今や切り離して考えることはできなくなっています。仕事に家庭のことを持ち込むことに抵抗を感じる人もいるかもしれません。ですが子どもが欲しいと考えるのであれば、“キャリアの主導権を握る”ためにも仕事だけでなく、妊娠前から人生の主導権を握ることが大切かもしれません。

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